1-2 音の高さと楽器の音域
~もくじ~
C4のドって何?
「C4のド」というのを耳にしたことがある方もいらっしゃると思うのですが何かと言うと、これです。
この音のことです。そしてC3のドというとこれのことです。
ヘ音記号なのでわかりにくいですが、C4のドの1オクターブ下の音です。
つまりCは(ド)を表していて、数字はオクターブの高さを表しています。数字が大きくなるほどオクターブが上がり(音が高くなる)数字が小さくなるほどオクターブが下がる(音が低くなる)ということですね。
そしてA4のラというとこれです。
楽器を弾かれる方はよくチューナーで440Hzや442Hzの音を出して、それに対して楽器の(ラ)の音を合わせると思うのですがその時のラがこれです。
Hzというのは音の周波数(ざっくり言うと高さ)の単位で、数値が大きいほど音が高くなります。国際的な基準では440Hzの音をA4の(ラ)として音を合わせますが、場合によっては442Hzに合わせたり、過去には435Hzに合わせることもあったらしい。
いやそこは統一しろよ。
440HzをA4の(ラ)とした場合、220HzがA3の(ラ)、880HzがA5の(ラ)、1760HzがA6の(ラ)になります。
そう、周波数が2倍になると1オクターブ上がり、周波数が半分になると1オクターブ下がります。
これはわかりやすい。
この法則は(ラ)に限らず、(ド)や(ソ)などなんでも当てはまります。
周波数については「あーそうなんだ。」って程度でいいと思うのですが、楽器で今奏でている音が仮に(ミ)だとして、その音がE3のミなのかE4のミなのか、あるいはE5のミなのかということを認識しておくことは大切だと思います。
作曲をする上では、楽器によって音域が違うのでその楽器がどこからどこまでの音が出せるのかってのを知っておくことは重要だと思います。
曲を作り、それぞれのパートに割り振ろうと思っても楽器の音域を理解していないと、いざ割り振っても「そんな音出ませんが。」と冷たい声で言われかねません。
ここまでの話をわかりやすく図にしたものがこちらです。
管楽器・弦楽器・ピアノの音域
作曲の際、メロディーを作ってハモリを入れてベース音を足して裏メロ作って…なんてことをする際にどの楽器にどのパートを割り当てるのかを考える時に役立つと思います。
A5の(ラ)をコントラバスに割り振ってもそんな音は出せませんし、なんだったらA4の(ド)ってのを割り振っても「そんなことはチェロにやらせろよ。」って心の中で言われているかもしれません。
実際の音域は上図の通りですが、楽器によっては奏でにくく、響きにくい音もあると思いますので、実用的に使える範囲はもう少し狭く考えておいた方が良いと思います。
上図の鍵盤は一般的なピアノの鍵盤になっていて、 オーケストラで使われるほぼ全ての楽器の音域をカバーするピアノが「1人で奏でるオーケストラ」と言われるのも納得ですね。 A0、B0ときて次はC1です。オクターブの始まりはC(ド)が基準になっているわけですね。
音楽の世界でややこしいと思うのは基準がドになったりラになったりするところだと思います。オクターブの始まりはドなのにアルファベットやイロハはラ(A・イ)からスタート。こういうところは注意が必要だと思います。
ちなみに人間が聞こえる音域は20~20,000Hzくらいだそうで、 一時期「若者にしか聞こえない音」として話題になったモスキート音というのは17,000Hzとかの高音域の音のことだそう。私は14,000Hzくらいまでしか聞こえませんでした。
ト音記号とヘ音記号の関係
小学校で最初にト音記号を習い、ヘ音記号が出てきた瞬間にチンプンカンプンになった経験をお持ちの方も多いのでは。上の図を見るとト音記号とヘ音記号の関係がよくわかります。
ト音記号やヘ音記号は音部記号と呼ばれるもので、音の高さを表すためのものですが、高音域をト音記号、低音域をヘ音記号で表しています。
もしこれがト音記号しかなかった場合、C2の音を書き表わそうとすれば、五線の下に加線を8本も引かなくてはなりません。ぱっと見てそれが何の音か判別するのが非常に困難になります。ですので音部記号を使い分けて音符を記し、それぞれの楽器の音域に合ったパート譜を使っているわけですね。
上図を見ると、ト音記号の五線の1本下の加線上の音(ド)はヘ音記号の五線の1本上の加線上の音(ド)と同じ音になっていると思います。これを理解していればト音記号とヘ音記号の音程関係というのがわかると思います。
ちなみにト音記号とはト音(ソ・G)の位置を表す記号で、書き出しのクリンとした部分(五線の下から2番目)がト音(ソ・G)ですよーってことを表しています。
アルファベットのGを変形させた記号らしいですよ。
ヘ音記号はヘ音(ファ・F)の位置を表す記号で、書き出しの●部分がヘ音ですよーってことを表しています。アルファベットのFが変形させたものです。(見えないけど)
他にハ音記号なんてものもありますが、これはお察しの通りハ音(ド・C)の位置を表す記号で、五線上の書く位置によってアルト記号やテノール記号と呼ばれます。
こちらはクリンクリンのクリンとクリンの間の部分がハ音(ド・C)であることを表しています。アルファベットのCを表しているらしいですがどー見てもBの方が近いんですが。
アルト記号はヴィオラによく用いられる音部記号です。テノール記号はテノールトロンボーンに使われるらしいです。ト音記号とヘ音記号の間を取り持つ音部記号ですね。
私はいつもヘ音記号の楽譜しか見ていないのでハ音記号どころかト音記号が出てきてもとまどってしまいます。
たまに高音が出てくるとハ音記号やト音記号の表記に変わる楽譜が出てくるのですが、いいから!上に5本線引いていいから!って思います。
楽譜上の音と実際の音は違う場合がある
コントラバスやギターなどは、楽譜上では1オクターブ上で書かれていることが多いです。
つまり、楽譜上でA4の(ド)を弾いたとしても実音(実際に出ている音)はA3の(ド)ってことになります。
なぜこのようなややこしいことになるかというと、例えばコントラバスの最低音E1(ミ)の音を出してもらおうとしたとします。それを記譜しようと思うと、ヘ音記号の五線の下に5本加線を引いてその更に下に音符を書くことになります。
作曲する上ではその方が音程関係がわかりやすいかもしれませんが、演奏者にとっては正直見にくいと思います。
だったら楽譜上では1オクターブ上に書いた方が見やすくね?ってことでそうなっています。
しかし譜面を見た時に実音なのか、実際は1オクターブ下の音なのかがわからないと困りますよね?ですので記譜する際はこのように書いたりします。
このように音部記号の下に「8」と書くと「実音は1オクターブ下ですよ~」ってことです。逆に音部記号の上に「8」と書くと「実音は1オクターブ上ですよ~」ってことになります。
ただ、自分で譜面を作る際にはこのように書けば良いわけですが、私の経験上、既存の譜面にきちんとこの(8)が書かれているかというと全然そんなことはありませんのでお気をつけください。
譜面上と実音が違う移調楽器
楽譜上の音と実際の音が違うものは移調楽器とよばれます。先程のコントラバスやギターは実音が1オクターヴ低いだけですのでわかりやすいですが、クラリネットやホルンなどでは記譜上の音よりも実音が長2度(半音2つ分)低いといったものが登場します。例えば楽譜上の(ラ)を奏でると(ソ)の音が出るってことです。
???
「なんでそんなややこしいことするの?」と思われるかもしれませんが、トランペットやクラリネット、ホルンなどの管楽器はそれぞれにたくさんの種類があります。それぞれに専用の奏者がいれば問題ないわけですが、同じ奏者が楽器を持ち替えて演奏することも多々あります。その時に同じクラリネットなのに指使いが違うと奏者が大変なので「いっそのこと譜面を変えた方が良くね?」ってことでそのようになっています。
私は1オクターヴ以外の移調楽器の経験がないのでよくわかりませんが譜面の音と実音が違うって気持ち悪くないのかなと思ったりします。